譜面創作理論 3 ~太鼓音の構成要素とその意義~

第1回で良譜面を定義し第二回で譜面の大局的な構造について解説しました。

今回は太鼓の達人の譜面を構成する要素について見てゆきます。具体的には「ドン」「カツ」「大音符」「黄色連打」「風船」です。芋と鈴は省略します。

譜面創作に直結させにくいし理解しがたい考え方ばかりだと思いますので、適当に読んでくだされば幸いです。

※注意事項
・太鼓さん次郎にて譜面を作り始めて6年が経つ私自身の経験に基づいて譜面創作のコツを言語化したものです。元来譜面創作は主観的なものですので参考程度にお願いします。
・太鼓さん次郎特有のコマンド(SCROLLやBPMCHANGEなど)や譜面の表記方法(0~8の数字)を理解していることを前提とします。
・基本的に●=ドン、○=カツで譜面を表現します。0~8の数字で表記することもありますがご了承ください。
(例)10201121,→●_○_●●○●/

最終更新日:2016/05/30
まずは太鼓の達人の音楽性に関して再確認しますが、自分はそういう分野を研究しているわけでもないただの素人で和太鼓部に所属して得られた経験のみを頼りに私見を書きます

【1】和太鼓と西洋音楽の相違点
譜面創作理論では当然太鼓の達人に関する譜面のみを扱いますが、元々太鼓の達人は和太鼓をモチーフに作られたゲームですので和太鼓の音楽性に関して再確認しておきましょう。

皆さん実際の和太鼓がどのような演奏をするのか、あるいはどういう曲を演奏しているかはご存知でしょうか。おそらく大半の方が「ドンドコドンって打つ」程度にしか言えないでしょう。同じく古典的な西洋音楽のいわゆるクラシックと比較してみては如何でしょうか。そもそも使用している楽器が全く異なりますので比較にならないかもしれませんが、案外違いは見えてくるものです。

クラシックと和太鼓の最大の違いは「観客」か「お客様」かということです。西洋音楽では観客と演奏者に二分され観客が受動的に演奏を聞き入れるものですが、一方で和太鼓は「お囃子」に近いですが、お客様と演者が一体となって一つのステージを作り上げるものです。和太鼓にはチャッパや担ぎ桶太鼓(太鼓を肩掛けで繋いで持ちます)などで演奏しながらお客様のもとへ歩いて行ったりするのも普通です。このようにステージ上にいない人を演者に含めるかそうでないかの違いから、クラシックは観客が動かなくとも楽しめる「ハーモニー」、そして和太鼓はお客様が乗じやすいように「簡単なリズムの繰り返し」という違いが見えてくるのです。もともと太鼓の「ドン」という音は低音なため複雑なリズムを叩いても音がただ鳴っているようにしか聞こえない、ということも一因ですが。和太鼓における伝統曲はそもそもお祭りに代表されるように人に見せるためのものではありませんので、複雑である意味がないのです。

このように和太鼓と西洋音楽(その他現代音楽も同じかと思います)では音楽性が全く異なります。

【2】太鼓の達人における2者の要素
では、この情報を太鼓の達人へ還元してみましょう。

太鼓の達人は和太鼓と同様に「ドン」「カツ」の2種類の音しかありませんので自ずと「簡単なリズムの繰り返し」が推奨されるように感じられます。しかし、それらは和太鼓のドンカツとは大きく異なり大小高低のない電子音になってしまっているで、このままでは真に2種類の音が単調に流れるだけの譜面になってしまいます(ご存知かもしれませんが和太鼓は叩く場所・力・角度などにより無限通りの音を演奏することが可能であり、これによって音楽性をなしているのです)。そのため、この点を考慮し太鼓の達人では「複合(=音符の配列を区切る単位)」という概念を導入しあらゆるパターンの譜面を誕生させているのです。つまり、和太鼓にある音の大小・高低を太鼓の達人では全て複合という概念にて表現しているのです。例えば3連符を111→112→122→222と並べると徐々に音の高くなる様子を表現していることになります。

これが太鼓の達人における和太鼓の要素です。

続いて西洋音楽要素も検討してみましょう。前述の通り「ハーモニー」が重視されることになるのですが「ドン」「カツ」2種類の音でハーモニーを奏でるのは想像し難いですよね。しかし、視点を譜面から曲全体へ向けるとこれは理解することが出来ます。
第1回で説明致しました通り良譜面ではBGM、太鼓音、ボーカルが互いを引き立て合い新しい曲を成しています。このことはすなわち3者の「ハーモニー」が意義をなす、という解釈に相当します。

このように考えると「ハーモニー」という概念が確立されますので、これが太鼓の達人における西洋音楽の要素です。

つまり、これらを総合すると太鼓の達人は和太鼓・西洋音楽2つの側面を持っていることになり、「簡単なリズムを基盤に『複合』で魅せる譜面がBGMのリズムとボーカルの雰囲気に従って良譜面」という解釈に至ります。結局良譜面の定義に帰結しましたが、論理的に良譜面を検討するにあたり太鼓の達人を音楽とみなす考え方が前提となりますので改めて認識してください。

以上を踏まえて今回の「太鼓音の構成要素とその意義」の説明に参りましょう。

【3】「ドン」の役割
太鼓の達人、という枠に限定すると視野が狭くなり何より「ゲーム」という価値観が大きく影響してしまいますので一旦似た音を持つ和太鼓へ話を移しましょう。一般的に和太鼓はドンとカツの2種類の音だけで曲を構成できる世界で最も優れた打楽器であると称賛されています。勿論強弱や音程を含めると無限通りの音が出来上がりますが。では和太鼓における「ドン」とはどのような役割を担っているのでしょうか。【1】にて紹介しましたように和太鼓は聞き手と一体になって曲を完成させる音楽であり、簡単なリズムの繰り返しが推奨されています。聞き手にわかりやすいように、伝わりやすいように、と考えればごく自然なことですよね。太鼓音が低音なため単音をはっきりと区別して認識することが難しいことも一因ですが。つまり、和太鼓のドンというフレーズは必然的に単純なものばかりで複雑なハーモニーは存在しえないはずなのです。

まずはこの考えを太鼓の達人に還元しましょう。

太鼓の達人も当然和太鼓と同様にドンカツの2種類の音で構成されていますのでドンの単純なリズムの繰り返しが推奨されそうですね。実際どんな感じか、下に例として載せました。

●_○_●●○_●_○○●_○_/●●○_●_○○●●○_●○○○/●
 ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓
●___●●__●___●___/●●__●___●●__●___/●

非常に単純な「1020112010221020,1120102211201222,」というこの譜面。この複合をよく見てみると実は「1111,」の繰り返し、と見なせるのです。これこそが隠された単純なリズムの繰り返しに相当し、自然とプレイヤーを引き込んでいるのです。

では、ここにさらに西洋音楽的ハーモニーの要素を当てはめてドンの役割を確立しましょう。

ハーモニーでは音の高低や大小が役割を為していることは言うまでもありませんが、これはすなわち「ドン」「カツ」という2種類の音の表面的な性状により両極端に分類することでハーモニーを表現することになるのです。「ドン」は極端に分類すると低音でベースに相当しますので、譜面の基礎をなす音になります。故に前述の「隠された単純なリズム」という考え方が意味を成すのですね。

以上より太鼓の達人における「ドン」の役割は「譜面の基礎をなす音であり隠れながら譜面の秩序を整える存在」です。この考え方より発展させて敢えてドンを全面的に強調する譜面の意義などが考えられますが、ここでは省略します。

【4】「カツ」の役割
先ほど「ドン」「カツ」の役割を両極端に考えることでハーモニーをなすと説明しましたので、「カツ」の役割は「ドン」の反対になります。すなわち、「譜面の主張をなす音であり表面に露呈しながら譜面にアクセントをつける」です。下に例を載せます。

●_○_●●○_●_○●_●○_/●_○_●●○_●_○●_●○_/(紅、おに)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
__○___○___○___○_/__○___○___○___○_/

これは裏打ちを拾った典型的な譜面で良いアクセントになっていますよね。このように「カツ」は譜面の主張に関わる繊細な音符ですので、乱用は譜面の乱れに直結してしまうのです。注意しましょう。

最後に補足ですが、以上に示しました「ドン」「カツ」の役割はあくまで論理的な一例で非常に極端な考え方ですので、全ての譜面に適用すべき概念ではありません。部分的にはこの役割を逆転させてみても面白い譜面になりますし応用はいくらでも可能なのですが、あくまで根底にこのような考え方があることは理解してください。

【5】大音符
大音符、の役割と言っても皆さんが想像すること以上のお話は出来そうにないです。「"大"音符」ですから強調した部分に入れましょう。ただし、所謂「禁じ手」についてだけは言及しておきます。

一般的に16分以上の間隔で小音符と大音符を連続させることを「禁じ手」と呼びます。ACの性能上片手でも一定以上の圧力であれば特良取れますのでプレイヤーはあまり気にしないかもしれませんが、見た目も汚いし叩きにくいので非推奨です。ただし、16分以上の間隔で大音符が連続することは禁じ手ではありません。未だ本家では大音符の連続をネタでしか活用していませんが、私は大々的に活用されるべきであると確信しております。是非使ってみてください。ただし、大音符は両手で叩く、という大原則を忘れて局所難にならないよう十分に注意してください。

【6】黄色連打と風船
最後に黄色連打と風船連打の役割についてお話しますが、これだけは和太鼓に存在しない概念ですので太鼓の達人の世界だけで話を進めてゆきます。全く存在しないというとまた嘘になりあることにはあるのですが、正直当て嵌めるメリットをあまり感じないので。

プレイヤー視点からすれば黄色連打は点数の稼ぎどころ、風船は確実に割らないと勿体ない、という具合で認識されていると思いますが譜面創作の立場から言えば全く異なる認識が必要になります。要するに「局所難が散在するからここら辺で点数稼ぎに黄色連打入れておくか」みたいな考え方は曲と譜面を調和させる上では全く不要な視点であり、むしろ悪い方へ影響する可能性が高いのです。では、譜面創作者から見る黄色連打と風船連打の意義とは何でしょうか。コチラは端的に言えば以下の2通りに分類されます。

①箸休め
要は「忙しい譜面に適度なお休みを与える」という考え方です。ドンカツばっかりの過密な譜面だと腕も頭も疲れてしまいます。さらに、これはどうしても譜面が思いつかない時に誤魔化すためにも利用することが出来ます。4小節区切りで曲を考えると4小節目の末尾って独特なリズムを取ることがありますよね。特にポップスで言えばAメロからBメロへ移行する部分。何回聴いても適切な譜面が思いつかない。良い繋ぎが思いつかない。そんな時は連打入れれば万事解決ですね。

②BGM、ボーカルで単音を伸ばすとき
言葉の通りです。本家譜面がしつこいくらい連打入れるときは基本これです。

連打自体の役割の説明は以上になります。黄色連打と風船連打の違いは主観に依存するべきであると考えていますので、ここでは省略します。私もその場のノリで使いわけています。

【7】まとめ(箇条書き)
・太鼓の達人に音楽性を見出すことを前提とする。

・「複合」という概念で音の大小・高低を表現する(=和太鼓的要素)。

・良譜面は譜面、BGM、ボーカルによるハーモニーからなるので、「ドン」「カツ」2者の役割を両極端に分類して考える(=クラシック的要素)。

・ドン=譜面の基礎をなす音であり隠れながら譜面の秩序を整える存在。

・カツ=譜面の主張をなす音であり表面に露出しながら譜面にアクセントをつける。

・大音符は強調に使われる。

・連打は箸休め、単音伸ばしの表現に利用され、何も譜面が思いつかない場合の特効薬でもある。



今回お話したことは「ゲームだから」と言われるだけで根底から覆されてしまうような内容ですので必要とは言い切れませんが、太鼓の達人はその他の音楽ゲームとは異なり音符がドンカツという独立した意味のある音を持っていますので、このような考察は必然だと思います。

あくまで私見であり理解しがたい考え方かと思いますので参考程度にお願いします。
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最終更新日:2017/03/06

・太鼓の達人
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